FENICS メルマガ Vol.38 2017/9/25

1.今月のFENICS

 暑さのなかにも、すっかり秋を感じるこの頃。秋をむかえる準備も、少しずつはじまっているでしょうか。
フィールドから帰ってきたばかりの方々、まだ余韻にひたりつつ、日常生活に復帰でしょうか。
 FENICSも、11月、12月のイベントにむけて準備をすすめています。どうぞお楽しみに!

 6巻『マスメディアとフィールドワーカー』、正会員には新刊9月まで2割引があります。
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それでは本号の目次です。もりだくさんです。

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1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(澤田結基)
3.フィールドワーカーのおすすめ(柚洞一央)
4.イベントリポート(久世濃子)
5.今後のFENICSイベント
6.FENICS会員の活躍(松本篤)

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2.私のフィールドワーク
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ドローン遭難未遂事件

澤田 結基(14巻執筆者・福山市立大学)

フィールドワーカーにとって、ドローンは実に便利で楽しいおもちゃ・・・もとい、ツールだ。しかし使い方を誤れば墜落することもある。瀬戸内海の海上など様々なところで飛ばしてきたが(第14巻「フィールド撮影術」参照)、1回だけ墜落を覚悟したことがある。
私が通っているフィールドは、北海道の十勝地方にある然別火山群である。然別湖という美しい湖があり、火山はその周囲を取り囲んでいる。山に登ると、大きな岩が堆積する斜面にエゾナキウサギやクマゲラの鳴き声が響き渡り、下界のことをすべて忘れてしまうような別天地が広がる。岩の隙間には、一年中融けない永久凍土の状態にある氷が残り、私はその氷のでき方や古さを調べている。その日は永久凍土の残る斜面の全体写真を撮りたくて、ドローンを担ぎ上げた。

ドローンを飛ばしていると、「なるべく遠くから撮影したい」という欲求にかられる。その日はよく知った場所という安心感もあり、遠くまでドローンを走らせた。小さくなったドローンがついに豆粒になった。もう限界だろう。こちらへ振り返るように回転レバーを倒した。これくらいでこっちを向いているだろう。いや、あと少し右かな、いややっぱり左かな?
最新型ならカメラの映像を手元で確認できるが、古いドローンは勘が頼りだ。いろいろな角度を試して撮影した後、ドローンを帰還させる操作に入った。しかし、豆粒のドローンの姿は相変わらず豆のまま、それどころか遠ざかっているように見えた。

しまった。ドローンがどっちに向いているのかわからない。近ければドローンの標識灯で方向がわかるが、豆粒では標識灯が見えない。ホームバック機能を使えばいいのだが、情けないことにコマンドを忘れてしまった。5分後には電池切れで墜落する。心臓が高鳴り、汗が噴き出してきた。

そこで一計を案じた。前後左右、すべての方向に2-3秒、動かしてみる。前後だとわからないが、左右に動けばその時の方向からドローンの方向がわかるはずだ。レバーを左に倒してみる。ドローンの位置は変わらなかった。次に、前へ倒してみる。果たして、ドローンは左方向へと少し位置をずらしているように見えた。ということは、ドローンの正面は、こちらから見て左を向いている。左回転レバーを少し動かし、次に前進レバーを倒した。大きくなってくれ!! 豆粒のように見えたドローンが、少しずつ近づいているように見えた。プロペラの音が聞こえだした。ああ、もう大丈夫!

 バッテリー切れのランプがついた機体がすぐ上に戻ってきた。おかえりー!感動の再会である。
この経験以来、ドローンを遠くへ動かすような撮影はやめた。ホームバック機能がいつでも使えるように練習すること、近くで操作すること。当たり前のことを守ればドローンの遭難は防ぐことができる。この冬は、ドローンにサーモグラフィーを搭載しての撮影にチャレンジする予定だ。

写真1.ドローンには、前後を見分けるための標識灯がついている。赤色がドローンの正面方向。

写真2.ドローン遭難未遂の際に撮影したフィールドの斜面。この映像を撮った後で操作が混乱する。



 

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3.フィールドワーカーからのおすすめ
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フィールドで髪を切る

柚洞 一央(『フィールドノート古今東西』13巻執筆者 人文地理学・徳山大学)

学部生のころ、休学しながらなんとなく海外を放浪していました。
そのころに身についてしまった「遊び」。

それは、言葉が通じない中で髪を切りに行くこと。

特に、看板も出ていないような場末の理髪店が好きです。
なにが楽しいかというと、どんな髪型になるかが予想できないこと。
言葉が通じないなかで、髪を切る人が何を考え、どのように私の髪を切るのか。
いろいろ妄想しながら、ただ目をつぶって髪を切られているその時間が楽しい。

40歳を過ぎた今でも、海外に行くとやりたくなります。
今回は、中国・貴州省の織金(Zhijin)という田舎町で、たまたま見つけた理髪店に入ってみました。織金洞(Zhijindong)は北京から貴陽市まで飛行機で約3時間、そこから高速道路で約2時間という立地です。

もちろん、日本語、英語は通じません。
どうせ通じないのですから、何語でもよいのです。
「切って!切って!」と言いながら、髪を切るジャスチャーをするだけ。
あとは、何を言われても、「いいよいいよ、やってやって」という雰囲気をつくるだけ。

今回は、かなり無難な髪形でした。気を使ってくれたようです。
30元。だいたい540円くらいでしょうか。
洗髪するとき、手術台ようなベッドに寝るのが新鮮でした。

ちなみに、過去には、いろいろおもしろい経験をたくさんしました。
エチオピアでパーマかけて意気揚々と日本に帰国し、シャワー浴びたら完全に元の戻ったとか、マレーシアか韓国では、襟元の後ろを一直線にそろえられたこともありました。

その土地で生きている人との不思議なコミュニケーション。
どんな髪型になってもいいのです。
また髪は生えます。

写真 イケてる美容師に散髪してもらう著者、ほか

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4.イベントリポート*会員より*
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久世濃子(12巻、13巻執筆者)

9月8日(金)~11日(月)に、富山大学で開催されていた日本哺乳類学会にて、昨年にひきつづき2017年大会の「特別集会」として、フィールドワークとライフイベントの両立に関する、持ち寄りランチミーティングを開催しました。

日本哺乳類学会 特別集会
「”リサーチ ライフ バランス” を目指して~第1回ランチミーティング~」

2017年9月10日(日)12:00~13:00
企画者:小坂井千夏(農研機構 中央農業研究センター)・久世濃子(国立科学博物館・日本学術振興会:FENICS12巻「女も男もフィールドへ」の執筆者)・久保麦野(東京大学新領域研究科)

<企画趣旨・内容>
 近年、日本社会では、育児や介護等と仕事の両立を目指す「ワーク ライフ
バランス」の重要性が高まっている。哺乳類学会でも女性会員が増えただけでなく、男性会員の中にも、育児をしながら研究を続けたい、と考える会員が増えている。さらに今後、少子高齢化がすすむと、多くの会員が介護と研究の両立に直面せざるを得ない。
 我々は昨年、「出産・育児と研究の両立を目指して」というタイトルで自由集会を企画し、出産・育児と調査研究の両立を試みて活動してきた男女の研究者が、その経験談を語ると共に、両立を可能にする為の工夫や環境作りについて議論した。本年は、より多くの学会員が参加しやすいように、研究発表と重なりにくい昼休みに、持参した昼食を食べながら、「研究(リサーチ)とライフイベント(結婚、妊活、出産・育児、介護等)の両立」をテーマに、情報交換を行う場を設けることを企画した。
 本年は、まず昨年の自由集会で挙げられた課題とその解決方法、解決できていない点等を総括した上で、今後こうしたランチミーティングで議論、情報交換したい課題・話題について、参加者から意見を求めた。事前の宣伝不足もあり、参加者は(企画者を除いて)10名程度、と少なかったが、その分、全員からコメントをもらうなど、有意義な情報交換を行うことができた。また、参加者は20代~50代、男女、既婚・未婚と、少ないながらも多様な年齢立場の人から意見を聞くことができた(12巻執筆者の酒井麻衣さんも参加)。
 参加者からは、昼食時間帯は参加しやすいので、ぜひ今後もこのような形で継続して欲しいという意見が多かった。今後は、今回出た意見を参考して、全哺乳類学会会員を対象に、ライフイベントと研究の両立に関するWebアンケートを行い、昨年と今年の集会の報告とあわせて、和文学会誌(哺乳類科学)に投稿する予定です。

※当日は会場で、FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ12巻『女も男もフィールドへ』(http://www.kokon.co.jp/book/b238440.html)も回覧しました。

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5.今後のFENICSイベント
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FENICS協力イベントのお知らせです。

映像のフィールドワーク・ラボ vol.2 「こな、ねる、たべる」
会期: 2017年11月18日(土)/ 2017年11月25日(土)
時間:各日とも10時~16時30分
会場:生活工房 ワークショップルーム
主催:公益財団法人せたがや文化財団 生活工房 
協力:公益財団法人下中記念財団
詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://www.setagaya-ldc.net/program/386/

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6.FENICS会員の活躍
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『はな子のいる風景』出版のお知らせ

『フィールド映像術』『フィールド写真術』に寄稿された松本篤さん。彼は、AHA!(アハ)という名義で、市井の人々の記録の価値を探求するアーカイブプロジェクトを企画・運営されています。そのAHA!が、昨年5月、69年の生涯を閉じた井の頭自然文化園の象の〈はな子〉にまつわる記録集をこの度上梓されました。

[記録集] 
はな子のいる風景:イメージを(ひっ)くりかえす

69年間の169秒、
と、その残像。        

戦後の日本に最もはやくやって来て
戦後の日本で最もながく生きた、
“はな子”という象がいました。

本書は、市民が撮影した169枚の写真と
撮影当日に記された飼育日誌をつなぎ合わせて、
彼女の歩んだ道のりの
一瞬一瞬、1日1日に光をあてたものです。

(本書概要より)

[企画・編集] AHA! [Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ](remo)
[協力] 公益財団法人東京動物園協会 井の頭自然文化園
[発行] 武蔵野市立吉祥寺美術館
 ISBN978-4-9909772-0-7

◎W220×H188mm/192頁(+貼込+差込+小冊子等)/モノクロ(カラー)/本体価格2,000円
◎吉祥寺美術館ミュージアムショップで発売中。
◎THE TOKYO ART BOOK FAIR 2017(10月5日~8日)出展
◎書籍に関する詳細は、下記アドレスをご覧ください。
 http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/info/2017/08/-part-b.html

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企画展『コンサベーション_ピース:ここからむこうへ』開催中
*本記録集は、現在開催中の企画展『コンサベーション_ピース:ここからむこうへ』(主催・会場:武蔵野市立吉祥寺美術館)にあわせて制作されました。
 http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.html

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以上です。お知らせ、いつでもご連絡ください。発信、掲載いたします。
FENICSと共催・協力イベントをご企画いただける場合、いつでもご連絡ください。

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