FENICS メルマガ Vol.28 2016/11/25

1.今月のFENICS

明日、いよいよ吉祥寺でのFFPイベントです!お目にかかれるとうれしいです。
待望の14巻も明日、初お披露目となります。カラー満載の特別仕様!ぜひお手元に。
今年もあとひと月。FENICSでは10日に女性フィールドワーカーには嬉しい、貴重なサロンを設けます。
ぜひスケジュールにおいれください!

それでは本号の目次です。

—————–
1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(門田岳久)
3.フィールドごはん(永塚尚子)
4.今後のFENICSイベント
5.チラ見せ!FENICS
6.FENICS会員の活動

—————–

2.私のフィールドワーク
~~~~~~~~~~~~~

「バスに揺られて」
門田岳久(文化人類学・民俗学、1巻執筆者)

フィールドというにはおかしいが、私にとって最も印象深いのはバスの中での調査である。博論の一事例として四国巡礼ツアーを取り上げるため、ある観光会社の添乗員見習い(?)として何度か乗り込んだのは何年も前だが、未だに思い出されるのはあの「心地よい」空間での身体感覚である。

* *

私は集団行動にかんしてはそれほど得意な方ではない、というかまあ苦手なのだが、そんな自分が中高年中心の2週間のバス缶詰ツアーを心地よく感じる理由はまず、添乗員や先達がいろいろなことを全て導いてくれるからである。四国遍路は仏教的な巡礼なのでお経も作法も知らなければダメなのだが、無知でもなんとかなるのは全て彼らが丁寧に指導してくれるからに他ならない。客=巡礼者は生徒であり、実際、バスの座席は全員が前を向いていて、教壇に立つ先達のレクチャーをまじめに聞くのに便利な造りである。これがロケバスみたいに向かい合った座席だとやりたい放題になる。また、団体なので次に自分がどこで何をやるのかよくわかっていなくても、とりあえず前の人について行けばなんとかなる。札所(寺)の名前を忘れても功徳だけは貯まっていくのよね、などと我々は軽口をたたくのである。しかも団体なので一人でやるよりも楽しく、お経などで間違ってもみんな間違うのでバツが悪くない。

* *

団体バスでの巡礼ツアーというのは個々人が周囲に身を委ね、マスとなって旅程通りに規則正しく進んでいく流れがある。専門家の知識やバスの造りはその流れをうまく生み出していく。その流れに乗ることに疑問を抱かなくなればこれほど心地よい空間もない。大げさにいえば主体性の放棄、もっというと消費社会によるコントロールである。従ってそのときの「心地よさ」は麻薬のようなものかもしれない。これってまずいよね、自分で考えて自分で主体的に歩かなきゃね、みたいな意見が出るのは必然で、そんなわけで最近ではそういう人向けに、「一人で歩ける徒歩巡礼ツアー」みたいなのも用意されているので、ご関心の向きは大手旅行社HPを参照されたい。消費社会はだいたい常に先回りしているのである。

~~~~~~~~~~~
3.フィールドごはん
~~~~~~~~~~~

永塚尚子(雪氷学、12巻執筆者)

極北の狩猟民族,イヌイットの人々が暮らすグリーンランドで調査をしていると,クジラやトナカイ,ジャコウウシなど,普段なかなか口にすることはできない現地の野生動物を食べる機会に恵まれます.
なかでも,北西グリーンランドで食べられている「キビヤック」は,かなりの上級者向けのローカルフードです.この地域にはアッパリアス(ウミツバメ)と呼ばれる海鳥が海岸沿いの崖の上に巣を作ります.現地の人は,この崖の上空に大量に飛んでいるアッパリアスを網で次々と捕まえて,それを羽毛がついた丸ごとの状態のまま,アザラシのお腹の中で数ヶ月〜数年発酵させます.これがキビヤックです.
ヌルヌルした表面の羽毛を綺麗に取って身を出し,生のまま食べるのですが,結構なグロテスクさとあまりの強烈な匂いに,自分の手で羽をむしることはできませんでした…他の調査メンバーからほんの少し分けてもらって食べると,見た目に反してとろけるような柔らかさとマイルドな味が口の中に広がってビックリ.みんな夢中で次々と羽をむしり,家の中はしばらくキビヤックの匂いが充満して大変でした.
ちなみにこのキビヤック,グリーランドの人でもなかなかハードルが高い食べ物のようで,国際学会で出会ったグリーランドの首都ヌーク出身の女の子にキビヤックを食べたことがあると話をしたら,信じられないと驚いていました.

~~~~~~~~~~~~~~~~
4.今後のFENICSイベント
~~~~~~~~~~~~~~~~

(1)11月26日@吉祥寺
FENICSイベント フィールド・フォトグラフィーの祭典Festival of Field Photography (FFP)

(2)12月10日(土)@本郷 FENICSサロン 「女性フィールドワーカーの健康管理」

女性フィールドワーカーは、女性という身体をもつがゆえに、フィールドワークをする際に男性とは異なる身体差を思い知らされることが多い。女性特有の身体とどう向き合い、ライフワークとしてのフィールドワークを続けたらよいのか。
女性の健康に関する基礎知識について、産婦人科医の立場からお話をいただき、その後参加者同士で性や健康に関する率直な情報交換の場を設けます!

お話:村上麻里(産婦人科医)さん「女性の健康に関する基礎知識について」
話題提供: 久世濃子 「妊娠時のフィールドワーク」「フィールドで発症した卵巣嚢腫」
椎野若菜 「乳腺炎とマラリア」
共通話題:「フィールドで、生理のことどうしてる?」ほか

日時 2016年12月10日(土)13:00~16:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト
資料代:500円 子連れOK!

~~~~~~~~~~~~~~
5.チラ見せ!FENICS
~~~~~~~~~~~~~~

100万人のフィールドワーカーシリーズ第12巻
『女も男もフィールドへ』(椎野若菜・的場澄人編)
「子連れフィールドワーク―ウガンダの村落での経験を中心に」
(杉田映理)

アフリカの農村部では、遠くから見ても黒人の中にポツンと肌の色が違う子がいると妙に目立つものである。私が村で子どもを連れて歩いていると、どこからともなく子どもがワラワラと出てきてうちの娘や息子をじっと見つめる。NGOやミッション系の人ナド外国人の大人は見たことがあっても、色の白い子どもを見るのは初めてなのかもしれない。そして私たちが道を進んでいくと、まさに『ハーメルンの笛吹き男』の上掲さながらに、大勢の現地の子どもたちが、うちの子どもたちの後をただただついて歩くのである。……

(12巻のご注文はFENICSホームページhttp://www.fenics.jpn.org/よりログインして、サイト内のオーダーフォームからご注文いただくと、FENICS紹介割引価格でご購入いただけます。ぜひご利用下さい)

~~~~~~~~~~~~~~
6.FENICS会員の活動
~~~~~~~~~~~~~~

(1)増野亜子さんが演奏します 11月27日(日)
パドマ = PADMA : Balinese gender wayang ensemble

【ライヴ告知】パドマムリウイライヴ with special guest 小島夕季
[Gender Wayang Live] PADMA with Yuki Kojima (tari Jawa)

日時:2016年11月27日(日)27/Nop/2016(Minggu)
18:30~
料金:席料500円+投げ銭+ワンドリンクオーダー
charge 500yen+”nage-sen”+one drink order
※予約は不要 no reservation
場所:カフェ・ムリウイ Cafe MURIWUI
(小田急線祖師ヶ谷大蔵駅北口徒歩5分こどもおとな歯科3F)
Odakyu-Line, Stasiun “Soshigaya-Ohkura”, jalan kaki ke utara 5 menit.
*************************************************
グンデル・ワヤンはバリ島の小さな青銅ガムラン。二人で演奏します。バリの気鋭の音楽家による創作曲「オームAum」(I Made Subandhi作曲)「荒波Ombak Tarung」(I Ketut Buda作曲)に、伝統曲、オリジナル曲、そして小島夕季を迎えてのジャワ舞踊とのコラボ。おいしい飲み物食べ物とともにお楽しみください。
https://m.facebook.com/genderpadma/


寄稿者紹介

文化人類学・民俗学 at 立教大学 |

雪氷生物学 |