FENICS メルマガ Vol.27 2016/10/25

1.今月のFENICS

暑い日が続くと思えば、東京も秋らしくなりました。山岳地帯はすでに紅葉、すでに冬にむかっているようです。
FENICSコアメンバーの福井さん(立山カルデラ砂防博物館)は「立山の内蔵助(くらのすけ)カールにある氷河遺跡で、ムーランと呼ばれる縦穴の入り口が11年ぶりに姿を見せた」というニュースに登場しています。
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20161004163410

申し遅れましたが、第13巻『フィールドノート古今東西』の書評が掲載された熱帯生態学会のニューズレターが、ネット上で公開されています。pp19-20.
四方篝さん(12巻執筆者)の文章の直後です。
https://mail.google.com/mail/ca/u/0/#search/%E5%9B%9B%E6%96%B9/156d583cf1b1437d

月末まで募集のFENICS写真コンテスト!まだ時間があります。どうぞみなさん、あなたのフィールド写真をお送りください、そして11月26日に吉祥寺で集まりましょう!!

それでは本号の目次です。

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1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(木村周平)
3.フィールドワーカーのおすすめ(大石侑香)
4.フィールドごはん(小川絵美子)
5.今後のFENICSイベント
6.チラ見せ!FENICS
7.FENICS会員の活動

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2.私のフィールドワーク
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木村周平(5巻編集者、災害人類学)

昨年のある夏の日。防潮堤の脇に建てられたプレハブ長屋で、栄三さん(仮名、80代)は夫婦で黙々とワカメの芯取り作業をしていた。紐状になったワカメを机の上にあけ、ひとつずつ手元に引き寄せ、軍手をはめた手でしごきながら茎と葉に分けていく。ラジオからは女性アナウンサーの快活な笑い声が聞こえる。外は静かだ。津波から4年以上経ち、この小さな集落は、少なくともこの静けさについては、日常を取り戻していた。

岩手県大船渡市の綾里地区に、都市計画・防災学・建築史・文化人類学等の混成集団で通うようになってもう4年以上になる。その間、この地区ではいわゆる「高台移転」が行われた。高台の整備は時間がかかったが、3年目の夏に完了し、そこに住むことを決めていた(もちろん、決めるまでに様々な葛藤や逡巡を経た)20数世帯は、各々自宅を建てはじめた。翌2015年には災害公営住宅も完成し、年末には、地区の中学校の校庭から応急仮設住宅団地が撤去された。
そのなかでこの集団は、都市計画の饗庭伸さん(第5巻執筆者)を中心に、行政への要望書の作成支援から、過去の津波への地域の対応調査、経験を現地に伝えるワークショップや展示など、いろいろな活動をしてきた。僕にとって、この協働の日々は、現場に働きかけていく都市計画家のアイデアやノウハウから多くを学ぶと同時に、「文化人類学のフィールドワークから何ができるのか」という問いを突き付けられ、その答えを模索する日々でもある。

栄三さんにとって、長屋は社交の場だ。この日、急に再訪した僕に椅子を勧め、10時の休憩時に備えてあった缶コーヒーと菓子パンをくれた。そして彼は仙台に住む孫の話をした。バイクを買ってあげたら、そのバイクでこの前も遊びに来てくれた。いい子だ。大学4年生で、就活で東京に行ったが気に入らず、内定を断ってしまった。仙台で探すそうだが、見つかるだろうか…。
津波前、長年遠洋船で働いていた栄三さんは、長男と養殖漁業をしようと遠洋船を下り、自分の船を購入した。しかし、津波で設備も船も流された。長男は体調を崩し、津波の翌年、50代で亡くなった。彼らが今ワカメの芯取りで働いているのは、そういうことだ。
しかし彼らはいつも、気遣われるよりも、気遣う存在であろうとする。筆者がその場を去る際、栄三さんはもう一本缶コーヒーと、栄養ドリンクをくれた。

フィールドへの主な行き方
電車なら、一ノ関で新幹線からJR大船渡線に乗り継ぎ(気仙沼からBRT)、終点で三陸鉄道南リアス線に乗り継ぎ、綾里駅下車(東京から6時間ほど)。あるいは車で。
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3.フィールドワーカーのおすすめ
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大石侑香(社会人類学)

西シベリアの森の中でトナカイ牧畜を営む人々のところには、通常電源等はありません。音楽の記録媒体や再生装置は定住村に置いていきます。そのため、宿営地や小屋でというよりは、調査地に行く道程で私はよくPerfumeのZero Gravityを聴きます。調査地では、極寒の広大な森の中で橇をひくトナカイが疲労で動かなくなったり、スノーモービルが壊れたり、ヘリコプターが来なかったり、道案内人が消えたり、宿営地に行っても誰一人いなかったりと、なかなか思い通りにいきません。ネットも電話もなく、人口密度が低く、集住せず、それどころか定住もしないところでは、助けを呼ぶことはおろか人に出会うことすら困難なときがあります。体力も気力も次第に尽きてゆき、限られた滞在期間では、アレについて聞かなきゃ、計画どおりに帰国しなきゃと焦燥感に襲われます。そんなとき、この曲を思い出して脳内再生すると、安らぎます。状況に振り回されすぎず、自然や人を観察する余裕が出てきます。五感も感度を取り戻して、頭も柔らかくなり、事態が好転していきます。「早朝の南西の風」、「湖」、「硬い雪」、「数日前の足跡」、「濃い森」……この先にヒトがいるはず、という具合に。

(YouTube動画)
https://www.youtube.com/watch?v=CECvMWcHO2M

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4.フィールドごはん
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小川絵美子(文化人類学)

現在のフィールドである北タイに初めて行ったとき、現地ではラムヤイ(日本語では「竜眼」)という果物の旬であった。一見小さなジャガイモのようだが、皮をむくとブドウやライチのようなゼリー状の甘い果実だ。その地方の名物であり、旬が短いということもあり、行く先々で誰もが振舞ってくれた。
大学の教授に遺跡を案内して頂いていた時のことである。鈴なりに実をつけたラムヤイの木を見つけた教授は、やおらその木に近づくと、なんと手を伸ばして実を取ろうとしはじめた。さすがに遺跡の敷地内でそれは許されないだろうとこちらが勝手に慌てていると、案の定「待ちなさい」と、清掃員かと思しき男性から声がかかった。ところが、わたしの予想に反し、彼は注意をするどころか、「こうやるんだ」と、二股に分かれた長い木の棒を器用に使い、大量のラムヤイを収穫し、最後は袋にまで入れてわたしたちに渡してくれた。「日本人には初めての味だろう」と得意げにほほ笑みながら。
「タイでは飢え死にだけはしない。バナナが雑草で生えてるから」とはある友人の談だが、非常に高い食料自給率を誇るタイの食の豊かさは、この国の人々のおおらかさとは無関係ではないだろう。

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5.今後のFENICSイベント
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(1)FENICS写真コンテスト募集、10月30日まで!!
ふるってご応募ください!

あなたのフィールド写真を送ろう、腕をためそう!
入選者は下記、吉祥寺の写真展で展示されます。
fenicsevent@gmail.com

詳細は:https://goo.gl/N9ZLB4

(2)11月26日 FENICSイベント@吉祥寺 武蔵野公会堂

フィールド・フォトグラフィーの祭典Festival of Field Photography (FFP)

http://i0.wp.com/www.fenics.jpn.org/wp-content/uploads/2016/10/fiedlphoto_rev03-1.jpg

14巻『フィールド写真術』(小西公大・秋山裕之編)が出版されることを記念し、イベントと、フィールド・フォトコンテストと、ギャラリーでの展覧会を開催します。フィールドで撮った写真を、10月17日まで募集します!写真研究者、12巻編者、FENICSコアメンバーで選考し、当日にギャラリーで展示を行います。また、おって当選者を中心に、都内のギャラリーでも展示予定です。ふるってご応募ください!
お子様用の部屋も別途準備しています。是非とも、ご家族でいらしてください!!

•日時:2016年11月26日(土)
14:00~16:30 (13:30開場)
•場所:武蔵野公会堂 第一・第二会議室
JR吉祥寺駅南口から徒歩2分。井の頭公園に向かう途中
http://www.musashino-culture.or.jp/sisetu/koukaido/access.html
・会費 FENICS正会員1200円 一般・当日1500円 学割あり
•子供部屋:第二和室(会場のとなり)
お子様連れ歓迎です!
会場で写真のアドバイスをもらおう、しよう!

プログラム:
会場の第一・第二会議室にフォトギャラリーを設置、来場者が展示写真にコメントやマークをつけ評価
*トーク*
澤田結基「ドローンで広がるフィールドフォトの可能性」(自然地理学)
宮本道人「顕微鏡下のフィールド・フォトグラフィー:神経回路の世界へ」(神経生理学)
松本篤「写真が生みだす記憶とつながり」(NPO法人remo、情報学)
小西公大・杉本浄・門田岳久「宮本常一が撮った佐渡:社会開発とフォトグラフィーの接合」(社会人類学、歴史学、民俗学)

*クロストーク* 小林美香(東京国立近代美術館客員研究員)×秋山裕之(文化人類学者 アフリカ・ボツワナ)
(3)FENICS 協力事業 EC(エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ)

ポレポレ東中野にて、一大上映イベントが決定しました!
アラマタ応援団長を筆頭に
豪華ゲスト陣と一緒にECを見て語る七夜。
ゲストの専門分野に沿ったタイトルを日替わりで上映します。

Home

【豪華ゲスト陣はこちら!】
11/19(土)関野吉晴(探検家)
11/20(日)赤坂憲雄(民俗学者)
11/21(月)荒俣宏(博物学者)
11/22(火)眞田岳彦(衣服造形家、女子美術大学特任教授、東北芸術工科大学客員教授)
11/23(水)U-zhaan(タブラ奏者)×長嶋りかこ(グラフィックデザイナー)
11/24(木)森枝卓士(写真家)×高田ゆみ子(翻訳家)
11/25(金)中村桂子(生命誌研究者)

※上映するタイトルは決定次第随時発表します。

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▼日時:2016年11月19日(土)~11/25(金)連日19:00〜
▼会場:ポレポレ東中野 http://www.mmjp.or.jp/pole2/
▼料金:一律2,000円(トークイベント付日時指定券)
チケットぴあにて10/8(土)より発売(Pコード:556-138)
※前売券は、チケットぴあのみでの販売となります。
完売の場合、当日券(2000円)の販売はありません。

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6.チラ見せ!FENICS
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100万人のフィールドワーカーシリーズ第11巻
『衣食住からの発見』(佐藤靖明・村尾るみこ編)
「西アフリカ都市で着る・仕立てる」
(遠藤聡子)

私も調査や生活に慣れるに従い、自分でもパーニュのアンサンブルを着るようになった。ロング・スカートではズボンのときのように早足で歩くことができず、また何より自転車に乗ることができない。そのため、よく活動する日にTシャツとジーンズを、用事が少ない冷やイベントに参加する費にパーニュのアンサンブルを着た。このような身につけ方でも、日常のふとした場面で、なるほどと思ったり、ベルナデットはこんな気持ちで服を着ているのだろうか、などとわかった気がすることが増えた。
なるほどと思ったことの第1は、……

(11巻のご注文はFENICSホームページhttp://www.fenics.jpn.org/よりログインして、サイト内のオーダーフォームからご注文いただくと、FENICS紹介割引価格でご購入いただけます。ぜひご利用下さい)
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7.FENICS会員の活動
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(1) 13巻執筆者、1巻にも登場する犬ぞり探検家の山崎哲秀さん

2016年(H28)の展示会のお知らせ
北極圏犬ぞり探検家 山崎哲秀 写真展

日時:2016年10月30日(日)10時~17時
場所:JR高槻駅 北 アルプラザ1階 アクトアモーレ通路にて
※山崎哲秀さんも会場にお越しいただきます。
(11時~12時)(14時~15時)の予定
http://team-yamasaki.jimdo.com/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/
(2)FENICS会員の川口博子さん(9巻)、村橋勲さん(6巻)、中村香子さん(11巻・14巻)、佐川徹さん(11巻)が登壇します。
ワークショップ「アフリカ紛争後社会と〈若者〉」(日本アフリカ 学会関西支部2016年度第5回例会)のご案内

■日時:2016年10月31日(月)16:00~19:00 (事前予約不要、参加費無料)
■場所:京都大学稲盛財団記念館3階318号室 (京都市左 京区吉田下阿達町46)
http://www.africa.kyoto-u.ac.j p/access.html

趣旨説明  橋本 栄莉 (日本学術振興会/九州大学)
「アフリカ紛争後社会と〈若者〉-せめぎあう複数の若者観のはざまで-」
報告1  川口 博子 (京都大学)
「問われぬ罪、請えぬ赦し-ウガンダ北部紛争後における元子ども 兵士の日常から-」
報告2  近藤 有希子 (京都大学)
「未来を探す若者たち-虐殺後のルワンダを事例に-」
報告3  岡野 英之 (立命館大学)
「〈若者〉言説が作り上げた新興エリート-紛争後シエラレオネか らの考察-」
報告4  村橋 勲 (大阪大学)
「教育への希望と困難-ウガンダの南スーダン難民の事例から-」
コメント1 中村 香子 (京都大学)
コメント2 佐川 徹 (慶応義塾大学)

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