FENICS メルマガ Vol.15 2015/10/25
1.今月のFENICS
 すっかり秋になりました。芸術の秋、食べ物の秋、スポーツの秋。もしかしてフィールドの秋、でしょうか。
 FENICSコアメンバーのなかには、山にこもって調査している人もいます。
 さて、11月1日から、FENICSのイベントがたくさん待っています。
 ぜひとも、お運びください。お目にかかれること、心より楽しみにしております。FENICSにかかわる、関心のある方々が交流するすばらしい機会、
次なる新しいなにか、がきっと生まれるはずです。
それでは本号の目次です。
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1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(設楽知弘)
3.フィールドワーカーのおすすめ(大塚行誠)
4.フィールドごはん(稲津秀樹)
5.今後のFENICSイベント
6.チラ見せ!FENICS
7.FENICS会員の活動
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2.私のフィールドワーク
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「ネパール(パタン、バクタプル)の町並み・建築」
設楽知弘(13巻『フィールドノート古今東西』(近刊予定)分担執筆者)
ODA案件における建築設計の仕事に従事して7年目になるが、業務で訪れた国はエチオピア、ジブチ、カンボジア、フィリピン、パレスチナ、セネガル、ラオス、そしてネパール。もっともそのうち7,8割(滞在日数)はエチオピアの案件で、その理由はこの仕事に従事する前からエチオピアの都市・建築史の研究(修士課程・博士課程)を続けてきたからである。この春までは、仕事で訪れた国の中で最も印象に残っていたのは(もちろんエチオピア以外で)、間違いなくパレスチナであった。エルサレム、ベツレヘム、ラマラ、ジェリコ、ヘブロンといった名立たる歴史都市を訪れたときの興奮は当分味わえないだろうと思っていた。
 いきなりネパール行きがきまったのは7月初頭だった。業務は2015年4月25日に発生した地震の復興・復興プロジェクトの学校設計の担当。ネパールを含むこの周辺国には一度もいったことがなく、忙しさの中で現地の下調べやガイドブックすら持たずにネパールに乗り込んだ。カトマンズにおりたち、繁華街を車窓からみたときの第一印象は、中層(4~5階)の煉瓦壁の建物がひしめきあい、(地震の被害はあるとしても)とても活気がある町というものだった。翌日から早速地方に移動して、被害がひどい地域を朝から晩まで見てまわり、毎日があっという間に過ぎていった。
 現地入りしてから2週間が経過したとき、ようやく丸一日の休みがとれた。気分転換も含めてネパールの歴史的な町並み、建築が見たいとおもい、ホテルから歩いてパタン歴史地区(カトマンズの南に隣接した町:カトマンズ中心部から車で10~15分)にいってみた。予備情報がなかったことがその驚きを倍増させたことは間違いないが、とにかくパレスチナ以来の興奮だった。あたり一面が、重厚な煉瓦壁に異常ともいえる細かな装飾の木窓、そして赤い瓦屋根の建物で覆い尽くされ、そこにしかない雰囲気を醸し出していた。それまで見ていたカトマンズの繁華街とは別次元の空間がそこにあった。
 しかし、パタン歴史地区以上に私が驚いたのはその翌週に訪れたバクタプル歴史地区(カトマンズから東に12キロの町:カトマンズ中心部から車で30~40分)であった。城壁に囲まれたこの町を半日あるきまわったのだが、個々の建築の美しさに加えて、寺院や住宅に接した大小の広場が人々の生活に深く結びついていることには唖然とさせられた。譬えはおかしいが、ベネチアのような雰囲気がそこにはあるのだ。そして、これまでバクタプルという地名さえ知らなかった自分がとても恥ずかしくおもえた。
 ネパール案件の業務は今年いっぱい続く。あと何回バクタプルに行けるかわからないが、その魅力を自分でもっと探ってみたいというのが、私の休暇のさいの楽しみになっている。
追記:今回の地震で、パタン歴史地区、バクタプル歴史地区にある建物も倒壊したものや壁に大きな亀裂が入ったものなど被害を受けております。世界遺産でもあることから、今後どのように復旧(保存修復)されるのかが課題といえます。
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3.フィールドワーカーのおすすめ
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「レンコームザイ」
ミゾラム流のキリスト教礼拝歌
(大塚行誠、2巻『フィールドを見る』分担執筆者)
インドとミャンマーの国境沿いにはミゾラム州と呼ばれるミゾ族の自治州がある。ヒンドゥー教徒が多いイメージのインドだが,この州ではキリスト教徒が多数派を占めている。
日曜になるとミゾラムの町はどこも閑散として,開いている店など一つもない。教会で祈りを捧げる日なので,大半の人は教会で一日を過ごすのだという。
町の教会からは,ミゾ語(ミゾラム州の公用語)の讃美歌が絶え間なく聞こえてくる。西洋の讃美歌もあるが,伝統音楽に強く影響を受けた「レンコームザイ」と呼ばれるミゾ族特有の礼拝歌もある。レンコームザイは単調なリズムがひたすら繰り返されるもので,信者達は太鼓の音に合わせ,男女のパートに分かれて合唱する。
すると,聴衆の中から数人講壇の前で踊り出す者が出て,やがては多くの人が輪になって歩き出し始める。ただ歩く者がいる一方,伝統的な踊りをする者もいる…気付けば周りが次々とある種のトランス状態に入っていった。観察しているこちらまでも引き込まれそうになるほどの迫力だ。
これはミゾラムの教会ならどこでもよく見られる光景だそうで,ミゾ族の友人はこの儀式で神をより身近に感じられると言っていたキリスト教と伝統文化が融合した姿の一例として挙げることができるだろう。
レンコーム (Lenkhawm) に関する論文
Lengkhawm Zai: A Singing Tradition of Mizo Christianity in Northeast India. MA Thesis, University of Durham, January 2013 (http://etheses.dur.ac.uk/6376/)
レンコームザイの紹介動画

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4.フィールドごはん
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イベント後の食卓
(稲津秀樹 1巻『フィールドに入る』分担執筆者)
写真は、ペルーから移ってきた人たちが暮らす団地の一室で囲んだ食卓の一コマだ。拙稿にも記した通り、現在はカメラを構えることの少ない私だが、この時期は、団地の集会所でお世話になっている家族の結婚記念日パーティや、近隣のカトリック教会でもペルーにちなんだ祝祭が開かれるなどしていたためか、たまたま写真を撮っていたようだ。
近隣でのイベントには少なからずの「日本人」も関わっているが、そこで私たちは当事者が作って持ち寄る、いわゆる「ペルー料理」に出会える。だが、上の家族と長時間に渡るイベントから帰宅した後の息抜きも兼ねて食卓を囲んだこの時は、作り置きされた少量のアロスコンポヨ(チキンライス)では足りず、団地内のスーパーマーケットで巻き寿司といなり寿司などを購入して間に合わせていた。
これは食事を共にする私への配慮というよりは、来日して20年に以上になる家族が幾度となく口にしてきた(文字通り)「ごはん」の一例だ。それは特別でありながら、どこか「平凡」な米料理体験でもある。移住者の現実が私たちの「日常」と何かしらの結び目を持ちながら生きられていることの証左は、食卓上にもこんな風に何気なく示されていたりする。
FENICSメンバーサイトのメルマガコミュニティに写真を掲載しています!
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5.今後のFENICSイベント
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 来月は、FENICSイベント満載です!とりわけ11月1日から、東京でふたつのイベントと展示を楽しめます!ぜひご計画を!
(1)11月1日@東中野ポレポレ(年にいちどのbigイベント!いよいよ間近!!)
    カケラから世界をみる~魅せられてしまったフィールドの断片とは?~
(2)11月2日@東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    アフリカの問題はアフリカ人自身で~ナイロビのスラムで建築家たちがはじめた実践~
     byディック・オランゴ
(3)11月14日 バナナなウガンダ!(料理ワークショップ)@世田谷 生活工房
(4)10月23日~11月15日@生活工房
     アフリカと結婚(展示)
::::以下、それぞれの詳細です:::::
(1)11月1日@東中野ポレポレ
  ■カケラから世界をみる~魅せられてしまったフィールドの断片とは?~■
<お話>
陶器のカケラを道端から水中まで追いかける野上建紀さん(水中考古学)
植物と昆虫の世界に取り込まれた奥山雄大さん(植物学)
歌のカケラに誘われて掛け合い歌の世界に入る梶丸岳さん(文化人類学)
<映像>
映像百科事典「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ:EC」より映像上映
(アフリカ・オセアニアの伝統医療)
<トーク>
駒澤大佐 × 増田研(聞き手) 耳鼻科医がアフリカの島へ住み込み調査にいく
<スライドショー >
FENICSフィールドワーカーによる写真スライドショー
歓談の時間
◇日時:2015年11月1日(日)13:00 open /13:30 start (16:30終演予定)
◇場所 space & cafe ポレポレ坐
   東京都中野区東中野4 4 1 ポレポレ坐ビル1F TEL:03-3227-1405
  (アクセス http://za.polepoletimes.jp/map/
  JR総武線 東中野駅 西口より 徒歩1分/都営地下鉄大江戸線 東中野駅 A1出口より 徒歩1分/営団地下鉄 東西線 落合駅より 徒歩10分
◇料金:予約1500円 / 当日2000円(ワンドリンク付)
◇予約申込先、お問い合わせ:fenicsevent@gmail.com
◇主催:NPO法人 FENICS
◇協力:公益財団法人下中記念財団、ポレポレタイムス社
*お子さま連れOKです!
(2)11月2日@東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
  アフリカの問題はアフリカ人自身で~ナイロビのスラムで建築家たちがはじめた実践~
     byディック・オランゴ (AOAD: ATELIERS OLANGO ARCHITECTURE & DESIGN)
 日時:2015年11月2日(月)17:45~19:45
 会場:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)マルチメディア会議室304
 使用言語:日本語
 参加費:無料
 ディックさんは、建築家です。冒頭のエッセイを書いてくださった設楽さんのご紹介。
 日本で学んだ建築の専門を生かし、日本とケニアをまたぎ次々とプロジェクトに関わり、立ち上げ、活動するオランゴさん。援助慣れしたトップダウン式の政府のやり方に疑問をもち、故郷アフリカを、ケニア人たち自身で解決していく若手養成、ムーヴメントを開始!まさにホットなお話をしていただきます。
(3)11月14日 バナナなウガンダ!(料理ワークショップ)@世田谷 生活工房
    ウガンダの主食であるバナナ料理やピーナッツソース、煮込みなどの家庭料理を習います。日本では手に入りづらい珍しい食材を使って、ウガンダの生活文化を体験します。
  日時:11月14日(土)10:00~14:30
  会場:生活工房ワークショップルームA (三軒茶屋駅すぐ、世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー)
     アクセス: http://www.setagaya-ldc.net/access/
  講師:イアン・カルシガリラ、椎野若菜
  参加費:2人1組で3,000円
  定員: 2人1組で10組が基本、しかし一人でもOK
  対象:20歳以上、性別不問、親子も可
  申込締切:11月2日(月)必着
  申込方法:1.ワークショップ名、2.2人の名前、3.2人の年齢、4.代表者の住所、5.代表者の電話番号を明記の上、
     往復はがき(〒154-0004世田谷区太子堂4-1-1キャロットタワー5F生活工房「JAPONDER料理」係)
     またはEメール(info@setagaya-ldc.net 「件名:JAPONDER料理」
(4)10月23日~11月15日 アフリカと結婚(展示)@生活工房
  留学生を通して世界を知るJAPONDER(ジャポンダー)。今年は、ウガンダ共和国の留学生とその夫人である文化人類学者の研究展示から、
  ウガンダの社会問題や、日本とアフリカの「結婚」とそこからはじまる家族の暮らしを考えます。
  ★現代ウガンダの結婚式について、映像と写真、フィールドデータで垣間見ることができます。結婚式再現セットで記念撮影も!
   会期: 2015年10月23日(金)~2015年11月15日(日)
   時間: 9:00~20:00 入場無料・会期中無休
   会場: 生活工房ギャラリー(3F)
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6.チラ見せ!FENICS
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100万人のフィールドワーカーシリーズ第5巻
『災害フィールドワーク論』(木村周平・杉戸信彦・柄谷友香編)
「地域の将来を見据えた復興計画づくり-被災地のバトンをつなぐこと」
(澤田雅浩)
先述のように私は、2000年に新潟県長岡市に拠点を移している。当時の職場では、防災や復興について具体的に講義や演習を通じて学生と議論や考察をするような環境ではなく、建築を主体とする領域における都市計画やまちづくりに携わることがほとんどであった。調査のフィールドは、暫くの間は別物として位置づけていたともいえる。
 状況が一変したのが2004年である。この年、新潟県は数多くの自然災害にさいなまれることになる。まずは7月に発声した新潟・福島豪雨である。……
(5巻のご注文はFENICSホームページhttp://www.fenics.jpn.org/よりログインして、サイト内のオーダーフォームからご注文いただくと、FENICS紹介割引価格でご購入いただけます。ぜひご利用下さい)
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7.FENICS会員の活動
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4巻『現場で育つ調査力』の執筆者、子島進さんより、お知らせです。ご自身が代表の研究会のお知らせです。
大学教育における「海外体験学習」研究会
2015年度 年次大会のご案内
日程:12月5日(土)
会場:大阪大谷大学ハルカスキャンパス・阪南大学あべのハルカスキャンパス・あべのハルカスキャンパスフロア交流スペース
大会テーマ: 「海外体験学習の成果とルーブリック」
以上、近々お目にかかれることを願って。
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メルマガ担当 梶丸(編集長)・椎野
FENICSウェブサイト:http://www.fenics.jpn.org/